「脳は世界をどう見ているのか」ジェフ・ホーキンス著 大田直子 訳(ハヤカワ書房)
「脳は世界をどう見ているのか」は2021年のフィナンシャル・タイムズ紙のベストブックに選ばれたほか、ビル・ゲイツの「今年のおすすめの5冊」にも選ばれています。
著者のジェフ・ホーキンスは、1990年代に携帯情報端末「パームパイロット」を世に出し、「モバイルコンピューターの父」と言われている方だそうです。
しかしジェフ・ホーキンスはもともと脳について知りたいと思っていたため、自ら自分のやりたい研究のできる研究所を設立します。
その研究の現時点での成果を一般読者向けに著したものが「脳は世界をどう見ているのか」になります。
「脳は世界をどう見ているのか」は3部構成になっています。
第1部 脳についての新しい理解
第2部 機械の知能
第3部 人間の知能
第1部 脳についての新しい理解
「第1部 脳についての新しい理解」では、ジェフ・ホーキンスの脳理論の説明になります。
脳がどのようにして予測するのか、その理論的枠組みが説明されます。
それは「1000の脳理論」と呼ばれているようです。
第2部 機械の知能
「第2部 機械の知能」では、第1部で説明された脳理論を踏まえた上で、ジェフ・ホーキンスの考える知能を備えた機械について説明されています。
AIの未来は脳の原理を土台に構築される。
脳と同じ原理で動く機械には意識があるのか?
またAIは、映画やSF小説のような人類を脅かす存在にはならないだろうとも説明しています。
第3部 人間の知能
「第3部 人間の知能」では、人間の知能について語っています。
「第2部 機械の知能」ではAIは人類を脅かす存在にはならないと説明しています。
逆に、人間の知能こそが人類にとって最大の脅威になりうるとしています。
そのことを脳の新皮質と、古い脳の関係で説明しています。
また第3部の後半では、地球に住めなくなったときのための対策、人類が絶滅することは必然なので、人類の知識という遺産を他の知的生命体に伝える方法などが書かれています。
脳の働きに興味あり
脳の働きに興味があるので、この本を読んでみました。
脳がどのようにして予測をするのかという話から始まり、AIの話、それから人間の知能、地球に住めなくなったときのための対策、人類の知識という遺産を他の知的生命体に伝える方法へ話が進んでいき、まったく予想外の展開となりました。
確かどこかで人口増加についても触れていました。
AIの話が印象的
最も印象に残ったのが、AIの話でした。
AIが意識を持ったとか言われているようないないような話を見かける昨今。
「脳は世界をどう見ているのか」を読むかぎりでは、人間の脳の機能も全然解明されていないのに、そう簡単に意識を持つAIをつくることなんてできないと感じさせられました。
SF映画やSF小説のように、AIが意識を持って人類を滅ぼす可能性は、かなり低いと感じます。
それよりも一番の問題になりそうなのは、人間の知能ということになりそうです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
皆さんに嬉しいことが起こりますように。
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